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Directed and Produced by
純谷吉松(Itoya Kichimatsu)


■2000年4月のニュース一覧
▼[2000.04.27]彼女の魅力
▼[2000.04.26]コミュニケーションのためのコミュニケーションロボ
▼[2000.04.25]ナップスターに関する断章
▼[2000.04.24]明確な未来のための鍵
▼[2000.04.23]ふてぶてしさと思い上がり
▼[2000.04.22]嘘とホントの違い
▼[2000.04.20]空(色)のキャンバス
▼[2000.04.19]アイズ・オンリー・ブルー
▼[2000.04.18]ネオ・ビッグバン
▼[2000.04.17]principle of wired
▼[2000.04.15]本当の自分でいるために
▼[2000.04.14]上位階層としてのワイヤードから
▼[2000.04.13]<b>標準を作るのは?</b>
▼[2000.04.12]巨人の始末
▼[2000.04.10]Link to You!
▼[2000.04.09]ドラマチック・クールダウン
▼[2000.04.07]満天の星空
▼[2000.04.06]懺悔の,戒めの地としてのワイヤードは
▼[2000.04.05]推し進め,突き進め
▼[2000.04.04]音楽が,あるために
▼[2000.04.03]優位性進化論
▼[2000.04.01]嗜好・志向・思考

■2000年5月のニュース一覧
■2000年3月のニュース一覧

 
[2000.04.27]
  彼女の魅力


 ▼電脳機器が俺を駆り立てる(上)(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000426301.html


 魅力をひとつひとつあげてみた。気づかってくれる優しさと,たまに融通が利かない可愛さと,真剣な話には真剣に応えてくれる真面目さと…。なんの話かって? 彼女の話だよ。ペンティアム3を積んだ,ね。

 ニュージャージー州在住のブレインクラフト社ニューメディア責任者のフィリップ・トロン氏は,常に1ダースの電脳機器を持ち歩いている。さらには自動電灯や,猫のための自動えさやり機,猫のふんをとるロボットアームのついたごみ箱もある。彼のギーク自動車は,メールとウェブに完全にアクセスでき,ワイヤレス会議システム,音声ナビゲーション,MP3ステレオもついており,それらをパームでコントロールできる。だが,それらへの執着のために,彼は最近恋人を失った。

 笑えました(^_^)。面白かったです。「ネコはマシンを気に入ってた」ですか。いいですね。こんな感じのデジタルおたくっぽい人は多い。そんな人たちの人間関係がうまくいっているかどうかは知らないが,まぁトロン氏のような人もいるだろう。恋人も時間を必要とするが,デジタルも同様に時間を必要とする。手間と暇はかかせない。インターネットが万人に普及しようとも,それに深く手間と暇をかける人は多くない。パソコン初心者のうちの多くは,パソコン中級者にはならずに,ずっと初心者のままだったりする。

 だが,はまってしまうと抜けられない魅惑を秘めているものだ。集積回路の恍惚と抵抗の蠱惑,輪転するパスサイクルと,掌を転がるアセンブラ。絶え間ない欲望を起こさせ,それを受け止める。人間の恋人は老いていくが,電脳部品は常に進化していく。その果ては見えない。さて,まさにその虜たるトロン氏は,(記事中には書いてないが)彼女にフラレテ,落ち込んでいるのかな(^_^?)。



 
[2000.04.26]
  コミュニケーションのためのコミュニケーションロボ


 ▼ペットロボット“プーチ”アメリカで大人気!(ファミ通.com)
  http://www.famitsu.com/news/200004/25/n08.html


 本物の人格がなくとも,そのアルゴリズムにいとしさを感じることもできる。だがそれは本物ではない。リセットすることもできる。ただ,それで人は癒されることも,学ぶこともある。

 セガトイズ社が発売しているペットロボット「プーチ」は,日本で品薄状態が続いている。米国でも19日に売り出され,大人気となった。発売日,プーチは子供たちに熱狂的に迎えられ,初回出荷分3000個が即日完売した。プーチは今後,全世界で順次発売される。

 真似ばっかしてんじゃねぇよ,と云われるほどの(^_^;)エセ・アイボラッシュがあったが,各社出揃って落ち着いたようだ。どうやらその中で,一番人気になってそうなのがプーチ。どことなく赤塚不二夫風な見た目(^_^)。お値段は2,980円,アイボ君の100分の1(^_^;)。その価格差は当然で,プーチはおもちゃ,でしかない。だが,おもちゃとしてのコミュニケーションツール,という位置づけは受け入れられやすいのかもしれない,望まれているのかもしれない,現代では。

 コミュニケーションのためのインターフェイスは3つ。鼻先で感じる光と,耳で聞く音,そしてなでる(押す)ことができる頭部のスイッチ。コミュニケーションはいたって単純。複雑でないほうがいいというのも,現代人の,病か。もし築き上げたプーチとのコミュニケーションが気に入らなくなったら「リセット」ボタンもある。今までの触れ合いを抹殺することもできる。いや,批判しているのではない。遊べるコミュニケーションがあることは,現代人(子供も含めて)には必要なのかもしれない。リアルやワイヤードで,_もうひとつの_コミュニケーションを作っていくためには。



 
[2000.04.25]
  ナップスターに関する断章


 ▼ナップスター問題でファンとミュージシャンが対立(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/culture/story/20000424202.html


 司法がどのような判断を下すのかはわからない。だが,ナップスターを使用している人たちは,メタリカへの判断も,音楽産業への判断もついている。だが,行き着く未来を予想できないので,うかつに口をはさめないでいる。

 メタリカがナップスター社を提訴したことで,一部のファンは激怒し,自分の持っているバンドの商品を,すべてイーベイに売りに出した。オフスプリングなどのミュージシャンも,法的措置の選択を検討しているという。メタリカに訴えられたインディアナ大学エール大学は,ナップスターの使用をブロックしている。だが,ナップスター社に,著作権侵害の責任はないかもしれない,という法律専門家もいる。

 ◇では,誰に責任があるんだ?◇「私はあなたの顔面をトンカチでぶん殴ることはできる。だが,そのとき,トンカチにはなんの責任もない。もちろん,トンカチを作った人にも,責任なんてない」◇問題は,違法行為を知りながらナップスターを使い続けているユーザーだ◇なら,ミュージシャンはなぜユーザーを訴えなかったのか。いや,ナップスターを訴えることは,ユーザーを訴えることと同義,なのか?

 ◇ナップスターのインターフェイスは,ゲームをしているような感覚に陥る。ゲームの中で人を殺しても殺人罪には問われない。ナップスターで得た曲はそれと同様の感じを与える◇だが,多くの人は音楽を愛している。CDを買うことを拒絶してなどいない◇では,なぜ訴える?◇個々のパソコンがシェア・サーバーとして機能し,私たちは新しい繋がりを手に入れた。MP3はその媒体だったに過ぎない。MP3が媒体となったのは,音楽が愛されていた証拠とも云える◇音楽を売る,ということは,数年後には今とは全然違う形態をとっているだろう。今はまだ誰もそれを予想できない◇ミュージシャンを貶めるファンはいない。ファンは,思っているよりも忠実なものだ。それはワイヤードでも変わらない◇なら,なぜ訴えた?



 
[2000.04.24]
  明確な未来のための鍵


 ▼Jobs氏が株主に披露した「Appleの未来」(MacWIRE ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0004/21/n_applef.html


 鍵は,いつも見つからないものだ。確かにそこにあると思っていても,必要なときには見つからない。扉は開かない。だが稀に,その能力を持つものも,いる。

 アップル社は20日に,年次株主総会を行い,取締役会を再選し,その後,質疑応答を行った。CEOのスティーブ・ジョブズの主な発言は以下。モトローラ社がG4チップの供給をうまく行えなかったときに,一時的に緊張関係があった。だが,モトローラとIBMとの関係は今後も続き,インテルCPUの採用はあり得ない。アップルはコンシューマー用に「刺激的な新製品」を考えている。

 ほんの数年前まで,あきれるほどの不満と怒号の質疑応答が繰り返されていたアップルの株主総会は大きく変わった。出される不満や苦情は微々たるもので,より美しい未来への展望が期待される。実質的に大きく変わったのは真ん中に座っている人物だけなのだが,その違いはなによりも大きい。人に期待をさせられる人物というのは,思っているほど多くない。シリコンバレーでも,限られている。死のどん底まで落ちたアップルだったが,最後の首の皮一枚で,彼を迎えられたのは,ある意味,奇跡,だったのかもしれない。

 最近,凪のように静かなアップルの製品情報だが,Mac the Forkは,7月19日のマックワールドエキスポ/ニューヨークでのiMac G3/600MHz,マックOS X発売開始などを取り上げている。取るに足らない不安はいくつでも落ちている。だが,光りある明確な未来を明示できる鍵は,ひとつしか落ちてない。その鍵を見つけ,使うことができるのは幸せなことだ。未来の扉を常に開ける幸せを,株主たちは味わっている。



 
[2000.04.23]
  ふてぶてしさと思い上がり


 ▼「MySpace.com」、無料ディスクスペースへのファイル保存を容易にするサービス開始(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0421/msp.htm


 土地を,いちばん最初に売ろうと考えたのは,誰だろう。神より与えられし地に,所有権を主張し,売り買いをしたのは,誰だったのか。リアルの人間の,ふてぶてしさと思い上がりは,そのとき,生まれたのかも…。

 無料ディスクスペースサービスのマイスペース・コムは,提供しているディスクスペースに簡単にファイル転送できる新しいサービスを開始した。「Dragn'Drop」は,デスクトップ上のフォルダにファイルを入れるだけで転送,「WebClipper」は,ウェブ上のファイルや画像を右クリックすると転送メニューがあらわれる。マイスペース・コムは,提携したヒューレット・パっカード社から200テラバイトのディスクスペースを得ている。

 無料のディスクスペースはよく使う。パソコン間のファイルの移動や,友人とのファイル共有,ちょっとしたバックアップなど,重宝する。で,ふと不思議に思うは,このサービスを提供している会社の収入は何?ということ。広告と思ったが,この記事のサービスでは,ファイルのアップロード時にマイスペース・コムのウェブを見ることはない。私がメインで使っているiバックアップはFTPが使えるので,広告なんてぜんぜん見ない。メアドがスパムに使われてることもないようだ(^_^;)。どうやらマイスペース・コムは,スポンサー企業へのリンクをユーザーとの間で取り持ち,アクセス数を増やさせることでスポンサー料を得ているようだ。利用者からの料金は,もちろんない。

 誰も,火星の土地を自分の所有物にしようとロケットを打ち上げるやつはいない。もしいたとしたら,かなり白い目で見られることだろう。強欲ばった奴だと思われるだろう。だが,地球上のほとんどの土地は所有されて成り立っている。それが現実だ。だが,ワイヤードにリアルの強欲を持ち込むやつは片づるべきだ。先日の(ってまだ片づいてないのだろうが…)特許関係の騒ぎもくだらなすぎる(Impress INTERNET Watchの記事)。マイスペース・コムの爪の垢でも煎じて飲ましてやりたいですな。



 
[2000.04.22]
  嘘とホントの違い


 ▼「ポケモンウイルス発生」とデマメール NAが警告(Mainichi INTERACTIVE)
  http://www.mainichi.co.jp/digital/network/archive/200004/20/6.html


 あなたは私にホントだと言い張った。あなたは私に嘘だったと呟いた。でも,どちらのあなたもホントだった。どちらのあなたも,嘘だった。

 ネットワークアソシエイツ社は20日,「ポケモン」というウイルスが発生したと騙り注意を呼びかけるデマメール「POKEMON_HOAX」が出回っているとウェブ上で警告した。米国で16日に発見されたが,国内ではまだ見られていない。

 NAの警告の中にウイルスの概要が書かれているが,「補足」に「ポケモンを詐称」というのが笑える(^_^)。ありがちなデマメールだが,掲載されている[訳文]でも,安易な日本人はすぐに転送転送転送転送してくれそうな感じ。いざとなれば「POKEMON」というウイルスを作ったらいい。今の世の中,ウイルスを作ることは小学生だってできるだろうし。「ポケモンウイルス」のメールはデマメールだが,「ポケモン」はホントのウイルスだ,てなことになったら混乱して面白そうですな。で,これとは別に笑ったのが「プレステ2,200万台突破」というデマ・ニュース。元ネタは2ch「ゲーム・業界」掲示板スレッド)。だが,G-NEXT(記事削除済み)や米国Game Spot記事),ps2.ign.com記事)などに転載されたみたいで…。

 情報は常に嘘をはらんでいる。「現実」と「言葉」は常に一致しない。「写真」も一致しない。「映像」だって一致しない。本心の心から出た「愛してる」という言葉も,常に嘘をはらんでいる。「愛」を言葉で説明するには,広辞苑が百万冊あったって足りはしないのだし。では,「言葉」と「写真」と「映像」で成り立っているワイヤードは…? そう,嘘もまたホントのことなんだ。ホントは嘘でできているのかも,しれないんだしね;-P。



 
[2000.04.20]
  空(色)のキャンバス


 ▼電総研と玉川大、空中に文字や図形を描ける「空気ペン」開発(日刊工業新聞ビジネスライン)
  http://www.nikkan.co.jp/hln/honbun/znkx19010000.html


 空色のキャンバスは,どうしたって40cm平方くらいでしかない。でも,空がキャンバスだったら。無限に続く言葉も,無限の広がりを持つ絵画も,描くことができる。

 電子技術総合研究所の山本吉伸主任研究官と玉川大学工学部の椎尾一郎助教授のチームは,ワイヤレスペンで空中に文字や図形を描く「空気ペン」を開発した。空中で動かしたペンの軌跡を電子的に保存し,ヘッド・マウンテッド・ディスプレイを装着した者同士で,見ることができる。また,描いたものをウェブを介して空間的に移動させることもできる。

 久しぶりに,感覚にずんと来たニュースでした(^_^)。たとえば,ヘッドマウントディスプレイを装着しながら街に出る。お店の前にはリアルタイムにお買い得品が書かれている。一度行ってみたかったが場所がわわかりづらい食堂は,事前に家で道案内情報を街中に書き込んであったのでそれをたどって行く。学校で仲間と会いたいがなかなか時間が合わないときも,いつも食堂に待ち合わせ場所と時間を書いておいて,それでおちあうようにしたり。ある芸術家は街中に,国会議事堂も都庁も国技館もバックグラウンドレイヤーにして,自分の一大芸術を描き続けている。それらはヘッドマウントディスプレイを外せばひとつも見えないし,広告は見たくないとかボタンでフィルタリングできたら,利用価値も高そうだ。

 ウェアラブルは,リアルの世界をそのままに,そこにワイヤードを薄く被せてしまうような感じになるかもしれない。道を歩きながらボイス・メールを聴いて,街角でお店の場所を仮想スクリーンで検索,地図を表示させたり。そのワイヤードの薄さは,いつの間にかだんだんと厚みを帯び,リアルの風景を変えていく。空色のキャンバスではなく,青い空に,自らの意見を薄紅色のペンで書き留めるときが来る。空が青いのは,その時のため,かもしれない。



 
[2000.04.19]
  アイズ・オンリー・ブルー


 ▼State Dept. Computer With Secrets Vanishes(Washington Post ONLINE)【英語】
  http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A26517-2000Apr16.html


 失われた国家機密情報が,ワイヤードのごみ箱から発見された。その時,リアルはどんな反応を示すだろうか。ワイヤードの情報で,国家が転覆することがあるだろうか。

 米国国務省は17日,機密情報を格納していた可能性のある情報研究局のラップトップコンピューター1台が,約2ヶ月前に紛失したことを明らかにした。この事件は国務省のセキュリティーの甘さを物語る最新のものだ。昨年,FBIが国務省の会議室から盗聴装置を見つけ,その後,ロシア人のスパイが潜伏しているのを発見した。98年には,ツイードコートの男が,2人の秘書のいる前で,オルブライト国務長官のオフィスから機密文書を持ち去るという事件があった。

 今回の事件のような,政府の機密文書が入っていたかもしれないラップトップコンピューターが盗難に遭うのは3度目。英国の陸軍士官が,ヒースロー空港で盗まれたのがひとつ。北アイルランドとの緊迫した内部機密を含んだコンピューターが,ロンドン地下鉄パディントン駅で,英国情報局保安部『MI5』の情報部員から盗まれたのがひとつ(CNET Japanの記事)。そして,今回。これが冷戦時代なら,スパイ合戦の果ての騒ぎとなるのだが,現代においては,単なるいたずらか,対政府組織の犯行か,となる。以前なら『eyes only』の機密文書も,今は(暗号化されていたとしても)デジタルデータとして,紙よりも残りやすくなっている,のかな。

 メディアには出されない情報というのは,どこにでもあるものだ。密室の取引によって決められた外交規約,ある国を貶めることを目的とした経済秘策,はたまた地球外生命体に関する公にされない調査報告書(過去記事)…。ラップトップコンピューターの情報が取り出され,ワイヤードのどこかのごみ捨て場に捨てられる。誰かがそれを漁って,掘り出す。そんな物語を想像すると,ゾクゾクするような興奮はないだろうか。そしてそんなことが,いつか起こりそうな予感がする。ワイヤードは,リアルの秘密がなんの意味も持たない場所として存在しているのだから。



 
[2000.04.18]
  ネオ・ビッグバン


 ▼Web検索に革命を起こす? 「Gnutella」を引き継いだプログラマーが語る強化計画(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0004/17/gnutella1.html


 ビッグバンの後,急速に膨張を続ける宇宙は,ある日,膨張をやめ,収束していく。そして,再び無の存在に帰したとき,あらたなビッグバンが起き,新たな膨張を始める。

 「ウィンアンプ」の開発者らが公開したファイル共有ソフト「グネーテラ」は,AOL社によって封印された後も,リバースエンジニアリングされ,新しいバージョンで出ている。また,リナックス版,マッキントッシュ版,JAVA版も開発されている。その開発者は,「グヌーテラは,ワードファイルやHTMLファイルの中身も検索できる。ウェブを介したリアルタイムの情報交換の主要な標準になるだろうと思っている」と述べている。

 現在のネットワークの年齢は?,という問いがあったとしたら,あなたはなんと答えるだろうか。やっと一般の人にも根づいて,ものすごい勢いで進化している,まるで何も怖いものがない十代のように,という答えもあるだろう。ウェブにできること,できないこと,気をつけなければいけないことなどが明確になってきて,より安定へと向かうときになっている,社会の中でいろいろと経験する二十代のように,という答えもあるだろう。もういい加減,若気の至りみたいなことはやめ,責任を大きく負い,社会を形成する一員となるべき中年期たる,という意見もあるだろう。

 ヤフーができたのが94年,ネットスケープ社が創立したのも94年だった。わずか6年ほど前だが,“この地”の進化は,リアルの何十倍にも相当する。数日前の出来事など,歴史年表の一行に過ぎない。ウェブは,すでに年を取り過ぎているのかもしれない。すでに世代交代の時が近づいているのかもしれない。ヤフーのディレクトリサーチも,アルタビスタのロボットサーチも,追いつかないほど,世界は変化してしまった。新・し・い・何・か・が・必・要・だ。グヌーテラは,今までのウェブを死に至らしめる,ビッグバンと,なりえる。



 
[2000.04.17]
  principle of wired


 ▼インタビュー:William Gibson(INTERNET CHANNEL)
  http://www.zdnet.co.jp/internet/yilife/0004/gibson/index.html


 ワイヤードは,リアルワールドの植民地となるべき場所ではない。その原理が有効に活用されれば,リアルはワイヤードを制御できない。いや,それどころか,ワイヤードの上位性が,より明確になる,だけだ。

 サイバースペース(電脳空間)という言葉を考案したのは,SF作家のウイリアム・ギブソンだ。彼は1984年の「ニューロマンサー」の中で,世界のコンピュータデータの集合体という概念をつくり上げた。その概念は「Xファイル」「マトリックス」「伊達杏子」などに反映されている。その彼の言葉から。「ネットの力は,デジタル化できるものならすべてを配信できる能力にある」「世界で最も魅力的なのは,コントロールがきかないこと。ネットワークの成長は,誰かの管理下にはない」「Webカムには,上下関係などない。この技術が持っている可能性は,双方向であり,非階層的だということにある」。

 ワイヤードが揺れているように感じる。それは,あまりにも多くのリアルを飲み込みすぎた結果でもあるのだが,さらに,リアルの法律,リアルの倫理,リアルの感情,リアルの情念までもが入り込んできた。国家や主義主張,信仰や観念といったカテゴリーの存在しない世界に,それらが網を掛ける。だが,いつか,偏在するワイヤードの原理は,それらを上回るだろう,と私は確信している。

 その原理とは何か? (差別や階層を永遠にぬぐい去れないリアル)ワイヤードは,なんの差別も,階層もないところから生まれている。(物理的制約を取り去る最大の武器が,テレビでしかないリアル)ワイヤードは,すべてのメディアを飲み込み,人の深層心理の絆をも繋げ得る。(入ってくる情報は,すべてどこかでトレースされているリアル)ワイヤードは,グヌーテラ(過去記事)のように完全にコントロールを拒絶し,個々人の形成を助ける。…WGの言葉の端々に,そんなことを感じながら,偏在するその原理を見据えたい。



 
[2000.04.15]
  本当の自分でいるために


 ▼広がる「Gnutella」の波紋――幼児ポルノが横行,ポータルにも脅威?(ZDNet News)
  http://www.zdnet.co.jp/news/0004/14/gnutella.html


 ワイヤードにいる本当の自分が,リアルの嘘の自分に侵食されていく。それを食い止め,本当の自分の牙城を守ることができるツールとしての,グヌーテラ。

 AOL社内部のプログラマーチームによって3月14日にリリースされた,サーバーを介さずにファイル交換を行なうことができるグヌーテラは,かなりの騒ぎを巻き起こしている。グヌーテラのユーザーは大規模な「グヌーテラ・ネット」に参加することもできれば,独自のネットワークを構築することもできる。そこでは,幼児ポルノや盗難したクレジットカード情報,海賊版ソフトの交換なども行われているようだ。

 グヌーテラ発火の引き金となった,MP3ファイル交換ソフト「ナップスター」(過去記事12)もニュースが尽きない。ヘビメタバンドのメタリカが,ナップスター社と,音楽ファイル交換を許しているとして3つの大学を提訴した(CNET Japanの記事)。だが,まぁ勘違いも甚だしい。メタリカのメンバーは「われわれの芸術が,日用品の扱いでやり取りされているのは悲しい限り」と述べているそうだが,音楽とは日用品になるべきものだ。そうでないというのなら,美術館のガラスのケースの中にでも入れて厳重に保管しておけばいい。

 ナップスターはひとつのサーバーに情報が登録されて成り立っているが,グヌーテラは,それがない。個々のパソコンがファイルを開示し,やり取りされる。IPなどの情報を送り合うこともないので,ログなんてものもとりようがない。ワイヤードはいつの間にか,どんどんリアルに侵食されてきた。個人情報を入力させられてリアルの自分を特定されたり,IPからリアルの自分を特定されたり…。そしてその特定内容はおおむね,金儲け企業の材料にされるだけだ。ウェブもメールも信用できない。でも,グヌーテラなら,本当の自分でいられる。ワイヤードにいる本当の自分を,守り抜け!(DLはCYBERTROPIXなどで,ど,お,ぞ(はぁと)。



 
[2000.04.14]
  上位階層としてのワイヤードから


 ▼ソニーがゲームキャラクターのオンライン販売を禁止 (CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2000/Item/000412-4.html


 「ワイヤードは,リアルワールドの上位階層と見るのが適当です。肉体の現実,経済,政治,生活などは,ワイヤードに流れる情報のホログラムでしかないのです」。

 米国ソニー社は,人気のオンラインゲーム,エバークエストに登場するキャラクターやアイテムが,イーベイなどで競売にかけられるのを禁じようとしている。しかし,ソニーの命令を無視し,イーベイでは10日も,武器やお守りなどが次々に売り出されている。こういったファーミング行為に対し,ソニーなどはユーザー同意書を書き換え,イーベイに対しても,削除を要求する方針を定めている。

 ゲームの中の話になにを目くじら立てているのか,という感じがしたが,どうだろうか。しょせん,キャラやアイテムを売るほうも,買うほうも,ゲームの楽しさを乱している。お金で買って,なにが楽しいのかよくわからないが,まぁなかにはお金を出しても強いキャラが欲しかったり,お金を出しても探して見つからなかったレアアイテムを入手したいと思っている人もいるだろう。そんな人々にとっては,リアルワールドなんて,ワイヤードのための,手段,でしかない。

 上位階層としてのワイヤード,そのためのワン・フレーズでしかないリアル。それに怖れをなす人々。リアルのお金を使って楽しいかどうかは,その人の基準でしかないし,それが間違っていると,私は思わない,ソニーの行為は,ワイヤードの楽しさを奪いかねない行為と思う。私も,ドラクエIIでラゴスの居場所がわからず泣いてたからなぁ,あの時だったら情報,買ってたかも(^_^;)。



 
[2000.04.13]
  <b>標準を作るのは?</b>


 ▼Windows版のIE 5.5はW3C標準に未対応――米開発者団体が批判(Impress INTERNET Watch)
  http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2000/0412/wasp.htm


 プレビューリリースがまだ試用段階にはほど遠いという批判の強いネットスケープ6だが,その裏でMSの悪巧み,かな?

 ソフトウェア開発者団体のウェブ標準プロジェクトは10日,マイクロソフト社の現在ベータ版のブラウザ「インターネットエクスプローラ5.5」ウインドウズ版が,ワールドワイド・ウェブ国際コンソーシアム(W3C)の標準仕様に一部対応していないと批判した。同団体によると,W3C標準のドキュメント・オブジェクト・モデル(DOM)とカスケーディング・スタイル・シート1(CSS1)の一部の実装が見送られたとしており,標準仕様のドキュメントの作成が不可能になるとしている。

 と,こんなニュースを聞くと,MSはまた…という展開になりがちだが,今回はちょっと回り道。W3Cの基本定義をすべて認めると,HTMLなどはとってもややこしくなる。W3Cの形式主義の甚だしさは,かなり抵抗を感じる。<b>ボールド</b>でなく,<strong>ボールド</strong>と書けとなる。さらにスタイルシートを使えとなる。ボールド指定が10個,20個ならいいが,100個単位になると<b>か<strong>か<div class="bold">かは,ファイル容量に影響してくる。簡単なほうがいいじゃん,というのは,正解だと思う。正しさは,利用者が決めていくものであって欲しいが…。

 もともとHTMLのタグは,ネットスケープの独自タグによって発展してきた背景もある。ネットスケープとMS社とのせめぎ合いのなかで,W3Cが標準を固めるようになった。今や圧倒的なブラウザ支配となったMSが独自の基準へと走るのはわからない話ではないが,MSにはウインドウズと,せめてマックにしかブラウザを作れないのが,大きな問題。自分の基準をすべてのプラットフォームに提供できなければ,ウェブへの破壊行為でしかない。W3Cへの完全対応を謳っているネットスケープ6のバージョンがあがる前に,MSはその拳をさげるべきだと思うが,それができりゃあMSぢゃないよな(^_^;)。



 
[2000.04.12]
  巨人の始末


 ▼乱れ飛ぶマイクロソフト是正措置の噂(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/business/story/20000411102.html


 皆が,ジャクソン判事になったかのように,MSへの是正措置を述べ立てている。だが,どの意見も100%ではない。MSへのやっかみ懲罰と,IT業界と消費者の幸福と,両方を満足させる始末の付け方,とは?

 マイクロソフト社の反トラスト法違反の是正措置審理が行われる5月24日に向け,どのような懲罰的措置が課せられるかの噂が飛び交っている。ウォールストリート・ジャーナルはインターネット・エクスプローラーのライセンス料の無料化とコード公開がなされると掲載した。だが,その措置はささやかすぎるという意見が多い。そんなのマイクロソフト社のお金の在り処と関係ない,という意見も。

 数年後,この裁判結果はどのように見られているだろうか。あんな会社,当然違法だった,あの是正は当然だった,となるか。結果としてユーザーが損をする措置がとられて,あのときのままだったらよかったのに,となるか。たぶん,それは,措置を下すほうも,下されるほうも,誰もわからない。もしあなたが措置を下す立場だったら,どんな措置を下しますか?

 MS裁判は,実際の反トラスト法違反以外に,MSへのやっかみ,が存在していることは,誰もが知っているだろう(過去記事)。MSには司法省などの怒りをわざと煽っているのかという姿勢もあり,それが裁判の流れを,必要以上に厳しくしている。さらには,MSの独占を許していたのは,最終的にはMS製品を選択した消費者ではなかったのか,という論評もある。MSの中心人物による3社分割という流れは(過去記事),消費者に大きなマイナスになるとして否定されるような意見も大きい。巨人の始末は,いかにすべきか,私も,わかりません(^_^;)。



 
[2000.04.10]
  Link to You!


 ▼Webリンクも場合によっては犯罪に--大阪地裁が初判断(Nikkei BizIT)
  http://bizit.nikkeibp.co.jp/it/top/editor/backnum/2000/1h/20000403.html


 リンクがなければ,ウェブというものは存在しない。人間が生きるのに食事をすることとおんなじ。それ自体に,罪もなければ,罰もない。当たり前のこと。

 3月30日に大阪地裁で下されたFLマスク裁判の有罪判決中の,「法に触れるようなサイトにリンクをはった場合,犯罪の幇助となる」とした点で,賛否両論が巻き起こっている。これは,リンク先サイトが違法な行為をしている(あるいは助長している)と知ってリンクした場合はもちろん,知らずにリンクした場合でも,「犯罪の幇助」に問われる可能性も出てくる(Mainichi INTERACTIVEの判決要旨全文)。

 ウェブというのはリンクによって成り立っている。まったくリンクのないページというのは,存在意義がない,と云っていい。ウェブとはそもそも,そういうものだ。関連記事へのリンク,相関関係にある記事へのリンク,情報ソースへのリンク,または反論記事へのリンク,補足情報へのリンク,また注目に値する情報へのリンク…。学内研究論文などがおのおのリンクしながら発展し,多くの人が集い,多くの人がつながり,多くの情報が補完しあい,補充しあい,形作られている。そこにそもそも,違法なリンク,なんてものは存在しようがない。それは,ウェブにとっては,自己否定とも云える。

 よく云われることだが,なら,ロボット型のサーチエンジンは,違法性が高い。著作権を侵害しているMP3が欲しいと思って,それっぽいキーワードで検索すれば,グーインフォシークなどでたどり着ける。それらを総ざらいするマックOSのシャーロックも,違法ツールとなろう。もしそうなら,グーやインフォシークは,すべての登録サイトを公開する前にチェックする義務が生じるし,それができなければそのサービス自体,違法行為となろう。基本的な意義を知らぬまま判決を出す司法,「安易なリンクを慎むべき」なんて記事を書く頭の悪い記者,そんな者たちに振り回されてはいけない。



 
[2000.04.09]
  ドラマチック・クールダウン


 ▼米国株(7日):ナスダックが大幅高、業績期待で(Bloomberg.com)
  http://quote.bloomberg.com/fgcgi.cgi?ptitle=title&T=japan_news_story.ht&s=AOO5xUyEllcSNkYqU


 冷やせないほどの過熱が,一気にクールダウン。あまりの温度差は,いろいろなところに傷跡を残すだろう。目に見えない不安は,今も市場に渦巻いている。

 7日のナスダック株式市場は,3ヶ月ぶりの総合指数大幅上昇となった。業績への期待を追い風に,米国クアルコム社米国インテル社など情報通信株やコンピューター関連株に買いが集まった。が,4日の過去最高の下げ率を回復するまでには至らなかった。

 今週,もっとも笑えたニュース記事は,WIRED NEWSのナスダック急落の記事だった(記事)。いや,実際に損をした人は笑えないだろうが,そうですか,飛び降りようと思ったら1階でしたか(^_^)。「冷やせないほど過熱気味(too hot not to cool down)」が長く続いていたこの市場に,突如吹き込んだ北風。同じく過熱が続いている日本にも,重たい教訓を与えている。教訓というには,ソフトバンク,光通信の続落は目を覆いたくなるような悲劇に見えなくもないが…(ZDIIの記事)。

 4日の暴落は,米国マイクロソフト社値動き)への独禁法違法判決がひとつの引き金だった。もちろんそれがすべてではないが,それが,バブルをはじけさせた。順調に株価を上昇させていた米国アップル社値動き)も,もっとも堅実だと思われた(WIRED NEWSの記事米国ヤフー社値動き)までもが,そのあおりを食った。これらの企業への期待はまだ尽きたわけではないが,わずかに正当な評価を見極めなければいけない。それを知る代償としては,あまりにもドラマチックな1週間だった。



 
[2000.04.07]
  満天の星空


 ▼Netscape、待望の新バージョン『Netscape 6』を発表(ASCII24)
  http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/2000/0406/soft03.html


 厚い雲が一陣の風に退いて,満天の,星空。

 AOL社の子会社であるネットスケープ・コミュニケーションズ社は6日,ウェブブラウザ,メールクライアント,AOLインスタントメッセンジャーなどで構成された「ネットスケープ6」のプレビューリリース版を公開した。注目はゲッコーと呼ばれるブラウザエンジンによるネットスケープ・ナビゲーターで,XMLやカスケーディングスタイルシートなど,業界標準テクノロジーをすべてサポートしている。

 英語マック版を使ってみた。インストーラーからインストール。ナビゲーターだけのインストールもできる(ph1)。インストールが終わって,起動イメージ(ph2),灯台の灯火が消えて,双眼で探し当てた新たな灯火,か。起動時間は,非常に長い。まだ各コンポーネントが統合されていないため,致し方ない。次いで,ネットセンターへの登録画面(ph3)。キャンセルしてもちゃんと起動できる。日本語のサイトもHTML内で言語指定してあれば,デフォルトでちゃんと表示される(ph4)。ナビゲーター4のように文字コードを間違うこともない。ちなみにデフォルトのフォントサイズは16pt。フォントサイズの指定,解像度の指定はPreferencesで(ph5)。最小文字サイズが12ptなのは改善されるだろう。ブックマークに,自動的にIEのお気に入りを取り込んでしまう。だが,新規にブックマークしたものも含めて,日本語はうまく表示されないことが多い(ph6)。あくまでもプレビューリリースということで,いろいろとアラがある。特にコンポーネントが統合されていないことで,かなり動作が重たくなっている。だが,ゲッコーは,かなり,いい。IE5のタスマンよりも速いのは実感できる。だが,ゲッコーが動作するまでが長いので描画の速さにちょっと気付きにくい(^_^;)。キーボードショートカットが効かなくなることがあるのも大きなアラ。ちなみにブックマークはハードディスクの第一階層の「書類」フォルダの中の「Mozilla」フォルダをたどっていくとある。「初期設定」からコピーして,ネットスケープ4のブックマークを引き継げる。全体的に,インターフェイスはどこかしら,モザイクっぽいな(懐かし〜)。

 長く暗雲が立ちこめていたが,やっと,天空が広がった感じ。もちろん,まだまだ,快晴になるには時間がかかりそうだが,薄い春霞の向こうには,満天の星空が見えそうだ。開発者たちに敬意を払いながら,星の降り注ぐ空を仰ぎ見たい(おまけ,こんなものも作ってみたりして,「N」アニメーションです(^_^))。



 
[2000.04.06]
  懺悔の,戒めの地としてのワイヤードは


 ▼人工知能システムで詐欺行為を発見(WIRED NEWS)
  http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20000405304.html


 地球という大地は,人間の愚かな行為をせき止める術を持たなかった。だが,ワイヤードは,それ自体が知性を持ち,戒めを与える存在となりえる,かもしれない。そこから,人は進化するのか,自滅するのか?

 ロンドン証券取引所では,サーチスペース社の知的取引監視技術による人工知能を組み込んだ,詐欺行為発見ツール「モニターズ」を採用している。このツールは,学習能力を持っており,柔軟な推論ロジックを使って,取引活動を独自に分析,理解する。遺伝子アルゴリズム,ファジー理論,ニューラル・ネットワーク技術が融合されて作動している。

 人工知能という言葉自体,もう何年も前から使われているが,驚くほどの関心を持ったことはなかった。知能を持ったといったって,到底人間には及ばない,応用が利かなくって,融通が利かなくって,という代物でしかない。だが,いつの間には,驚くほどの進歩をしていたら,このワイヤード上に,神のような存在として,人工知能を存在させることも可能かもしれない。

 もし地球が知能を持っているとしたら,無駄な争いを繰り返し,環境を劣悪化させていく人間に対し,なんらかの処置を施していたことだろう。だが,人は相変わらず,同じ所業を繰り返している。しかし,ワイヤードには,人工知能による知性を持った神を存在させることができるかもしれない。そして,(つまらないことには口出しなどしないだろうが)目に余る所業に対し,罰を与えるかもしれない。人はその時,懺悔の言葉を口にするのか? そして,自らの身を戒めることを知ることができる,のか?



 
[2000.04.05]
  推し進め,突き進め


 ▼セガがオンラインゲームと『Dreamcast』無料提供に戦略転換(CNET Japan)
  http://japan.cnet.com/News/2000/Item/000404-6.html


 セガの_ここ_に推し進める強さは,目を見張るものがある。だがそれは,確信があるからだろう。誰でもわかっているはずだ。今,インターネットに繋がらないパソコンを誰が買う? どんなに画面が美しかろうと,スタンドアローンでいるものに,本当の楽しさはないんだ。セガは,すべてをなげうってでも,そこに突き進むべきだ。

 セガ・エンタープライゼス社の米国部門は4日,事業戦略を抜本的に転換し,独自インターネットサービスを提供,加入者には実質,ドリームキャストを無料提供することにした。アナリストは,「すべての(ゲーム機)大手参入者のなかでセガの財政力が最も弱いのは明らかだ。なにか思い切ったことをせざるを得なかったのだ」と見ている。

 過去記事として,12。セガネットのサービスは月21.95ドル。ということは2年間で526.8ドル。ドリームキャストの200ドルをバックしても十分にペイできる,のか? もちろんセガネットは懸命に拡充も図っていかなくてはいけないのだから,よほどの経営努力が必要となろう。記事にあるように,セガはまったくの綱渡り状態なのだから。ひとつ間違えば,真っ逆さまなのは目に見えている。

 だが,これは価値ある決断だ。大きな称賛を得ていい決断だ(セガの株価はプレステ2発売から低迷しているが,買っていい時期だ)。今ではスタンドアローンのパソコンなど考えられないのと同じように,すでに時は,ゲーム機にネットワークを求めている(はずだ)。ゲームボーイが生き存えているのも,(ローカルではあるが)繋がることが可能だったからだ。セガの戦略はまったく間違っていない。突き進むために,日本でもイサオ・ネットを軸に,同様に強く展開すべきだ。突き進むのをやめたら,全部終わっちゃうんだから。



 
[2000.04.04]
  音楽が,あるために


 ▼新たなキラーアプリケーションとなる音楽(PC WEEK ONLINE)
  http://www.zdnet.co.jp/pcweek/news/0003/31/00033110.html


 音楽は暴利をむさぼってきた。それは本当に意地汚い所業だった。いや,音楽は,一部の卑しい人々によって食われていたんだ。ナップスターは,それに対する回答でもあるし,本来の音楽の姿を考えさせてくれる道具となっている。

 ついこのあいだまで,ウェブ上に存在した真の「キラー」アプリケーションとは,ブラウザだけだった。それ以来人々は,次なる凄腕の「殺し屋」が何かを見守ってきた。そしてそれは,ナップスター社のナップスターだ。MP3ファイルをユーザー同士で共有し,それを検索するソフトで,米国レコード工業会にとってはまさに「キラー」アプリ。だが音楽業界はMP3の発展に貢献するべきだ。CDの価格を切り下げ,音楽の流通を変革することで,より高い利益を手に入れることができるのだから。

 前回の記事で述べなかったことが,この記事に詰まっている。ナップスターがこの先,どのような道をたどるのかは,想像することができない。記事にあるように,誰も音楽を売っているわけではない。それで儲けを得ようとしているわけでもない。ただ,手持ちの_いい_音楽がシェアされて,検索から_新しい_音に出会えることが嬉しい,楽しい。それだけだ。

 日本で音楽CDが出てから15,6年くらい経つだろうか。CD-Rの普及によるCDメディアの低価格化は,当然音楽CDの価格に反映されてよかったはずだ。だがそれを見ることはなかった。MP3のやり取りが行われ,CD-Rで音楽CDが複製されているにも関わらず,音楽CDの売れ行きがそれほど落ちていないのはどういう意味なのか,_彼ら_は考えたことがあるのか。まっ,考えられないほどの頭の悪さが,事態を硬直化させているのだろう。今,音楽は変わる時期にある。ここで変わらなければ,いつか,破滅を見てしまうだろう。そのために,ナップスターは使われる,べきだ。今現在も,世界中から,50万のMP3ファイル,およそ2000ギガバイトが,共有されている。



 
[2000.04.03]
  優位性進化論


 ▼DarwinがIntelプラットフォーム向けに構築できたことが報告(MacWIRE Online)
  http://www.zdnet.co.jp/macwire/0003/30/n_md2.html


 なぜ,ダーウィンは存在するのか。インテル版マックOSがありえないとしたら,ダーウィンの価値はなんなのか。

 アップル社の新しいOS「マックOS X」の基礎部分となる,オープンソース「ダーウィン」が,ひとつの節目を迎えたようだ。ダーウィンはインテル社のCPU向けのコンパイルが可能になったと表明されており,技術的な障壁を乗り越えたのではと思われる。では,インテル版マックOS Xは可能だろうか。それには,基本的なグラフィックを処理する「クオーツ」部分の移植が必要で,それは実現不可能だ。

 同日,掲載されている,ビーOSがパワーPC G3とG4で動作しないという記事(MacWIRE ONLINEの記事)と合わせて読むと理解できるのだが,現在のマックOSはパワーPC G3とG4に最適化されている。これは新しいマックOS Xではより一層深まる。実際にアップル社では,マックOS Xの対象をG3,G4に限定しているし,パワーPC以外にマックOS Xを提供することはないと断言している(マックOS Xサーバーに関するディスカッション)。

 では,ダーウィンのインテルCPUへの移植には,どのような意味があるのか。インテルCPUへの大きな技術的な障壁とは,ディスクフォーマットのHFS+と,ネットワークプロトコルのアップルトークだった。もし,この問題が本当に乗り越えられたとしたら,そして,ダーウィン上で動作する(マックOS Xでないとしても)なんらかの新しいOSが生みだされるとしたら,ディスクフォーマットとローカルネットワークプロトコルの分野で,アップルは断然の優位を確保できる(現在,この分野でアップルは阻害の憂き目を見ているといっていい)。進化は常に自らの立場を優位にするために働く。ダーウィンが生みだす価値は,記事にあるような,印象,だけではない,と考える。



 
[2000.04.01]
  嗜好・志向・思考


 ▼【東京ゲームショウ2000春 Vol.2】セガの展示は、ネットワーク一色(ASCII24)
  http://www.ascii.co.jp/ascii24/call.cgi?file=issue/2000/0331/topi04.html


 ネットワークゲームが,いまだない日本。だが,それへの志向は明確に存在する。人々の嗜好は,いつ変わるのか。思考すべき,ゲームショウ。

 31日から開幕した東京ゲームショウ2000春セガ・エンタープライゼスの展示内容は,ネットワークエンターテインメントをアピールする内容一色だ。“WAO! 21世紀を驚かす,これがセガのインターネット計画だ! WAO!”というスローガンの元,ネットワーク対応のRPG『ファンタシースターオンライン』やアクションゲーム『10SIX 〜Own.Mine.Defend.Attack.24-7.〜』などのゲーム,CCDカメラ『ドリームアイ』,ドリームキャストでMP3ファイルをダウンロードできるMP3プレーヤーなどが展示していた。

 1回ごとに動きのあるゲームショウ。今回はプレステ2が発売されての開催だが,私の中ではプレステ2は終わっているので(^_^;),その他から。Xボックスのマイクロソフト社は,グラフィックチップとして採用したヌビディア社のCEOを呼んでの講演(gasen.comの記事)。試作機フリーズにもめげず(^_^;),なかなかの力を見せつけているようだ。そして,セガ。ネットワークへの志向を明確にし,接続機器やMP3プレイヤーなどを多く展示しているようだ。

 入交会長の基調講演も同様にネット志向がみられた(ZDNet Newsの記事)。そこには,常に2番手に甘んじている後ろめたさは感じない。人々の嗜好を,変えさせる意志がある,と見たい。CNET JapanでのオンラインRPGガイド(記事)は,米国の記事の翻訳だが,そこにはマニアのものから,一般のものへと変化していくだろうという記事の意図がある。今だにネットワークゲームを生み出せない,日本。先送りや展望を見るのはもうたくさんだ。今,このゲームショウで思考すべきだ,私たちの志向すべきものを。




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